2019年2月24日
「決定版・日中戦争」、波多野澄雄他著、新潮新書
決定版と銘打っているだけあって、とてもうまくまとめてあり面白く読んだ。5人の研究者による分冊だが、内容は統一されておりバラバラの感覚は皆無に近い。
本書のスタートは張作霖の爆殺で年表もそこから始まっている、そして満州事変に続く泥沼が終戦まで続く。そして読み終わっての印象だがいくつかある。
依然わからないことがいくつかあるのだ。軍部はぎりぎりまでアメリカと戦争をしてもかなわないと思っていたのに、なぜ戦いを挑んだのだろうか?追いつめられて、やけのやんぱちで始めたとしか思えないのだが、優秀な人材が集まった軍部が、それも若い俊秀たちが、どうしてその道を選んだのか?私には永遠の謎である。
歴史に「もし」はないだろうが、もし石原莞爾の云うように日本は満州経営に専念して、中国の侵略という野心を持たなければ、そして国際連盟を脱退しなければいかなる道が待っていたのだろうか?満州にのみ駐兵と云うことであれば、対共産ソ連という戦略はアメリカにも理解されたのではないかとも思えるのだ。
そして、上海事変から南京、重慶への侵略の意図はどこにあったのか、これも不思議な戦争だ。本書ではその経緯は書かれているが、意思決定プロセスがよくわからないのは、このころの日本の政治体制の欠陥だったのだろうか?
本書で興味深かったのは、カイロ会談~ポツダム宣言~サンフランシスコ講和条約の中国の役割である。要するにそれが今日につながっていると云うのである。詳しくは読んでいただきたいが、この部分は良い勉強になった。
日中戦争について頭の整理をするには最適の作品だと思う。
〆
「決定版・日中戦争」、波多野澄雄他著、新潮新書
決定版と銘打っているだけあって、とてもうまくまとめてあり面白く読んだ。5人の研究者による分冊だが、内容は統一されておりバラバラの感覚は皆無に近い。
本書のスタートは張作霖の爆殺で年表もそこから始まっている、そして満州事変に続く泥沼が終戦まで続く。そして読み終わっての印象だがいくつかある。
依然わからないことがいくつかあるのだ。軍部はぎりぎりまでアメリカと戦争をしてもかなわないと思っていたのに、なぜ戦いを挑んだのだろうか?追いつめられて、やけのやんぱちで始めたとしか思えないのだが、優秀な人材が集まった軍部が、それも若い俊秀たちが、どうしてその道を選んだのか?私には永遠の謎である。
歴史に「もし」はないだろうが、もし石原莞爾の云うように日本は満州経営に専念して、中国の侵略という野心を持たなければ、そして国際連盟を脱退しなければいかなる道が待っていたのだろうか?満州にのみ駐兵と云うことであれば、対共産ソ連という戦略はアメリカにも理解されたのではないかとも思えるのだ。
そして、上海事変から南京、重慶への侵略の意図はどこにあったのか、これも不思議な戦争だ。本書ではその経緯は書かれているが、意思決定プロセスがよくわからないのは、このころの日本の政治体制の欠陥だったのだろうか?
本書で興味深かったのは、カイロ会談~ポツダム宣言~サンフランシスコ講和条約の中国の役割である。要するにそれが今日につながっていると云うのである。詳しくは読んでいただきたいが、この部分は良い勉強になった。
日中戦争について頭の整理をするには最適の作品だと思う。
〆