ぶんぶんのへそ曲がり音楽日記

オペラ、管弦楽中心のクラシック音楽の音楽会鑑賞記、少々のレビューが中心です。その他クラシック音楽のCD,DVD映像、テレビ映像などについても触れます。 長年の趣味のオーディオにも文中に触れることになります。その他映画や本についても感想記を掲載します。

カテゴリ: > サスペンス


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タイトルのディア・スナイパーのディアは鹿の意、デニーロのディア・ハンターという名作とは似て非なるタイトルだ。邦題をディア・ハンター としなかったのは、主人公のリード(トム・ベレンジャー)はハンターであり最終的にはスナイパーになるからだろう。ただし原題は「BLOOD AND MONEY]である。

 リードは老齢のハンター、鹿狩りを生きがいにしている。小型のキャンピングカーに乗り、メイン州の北部の森(入林には申告がいる)に分け入り、鹿を追っている。妻とは別れ、息子とも1年以上あっていない。娘は死別している。天涯孤独で悠々自適の生活を追っていた。
 彼の狙いは牡鹿で、それを追い求めていた。ある日鹿を追跡して、狙いをつけ、撃つが、死体のそばにきてびっくり仰天。それは若い女性だったのだ。驚愕のリード。

 このリードの誤射事件とカジノ強盗事件とを結びつけた後半はリードの追跡劇となる。

 おそらく、トム・ベレンジャーの「スナイパー」シリーズに触発された作品だと思う。安易ではあるが、ベレンジャーがよたよたのハンター&スナイパーを好演しているのでまあみられたものになっている。脇役が何となく地味なので少々もったいない。もう少し予算を奮発すればさらに面白かったかもしれない。ベレンジャーのスナイパーシリーズをお好きな方は見ても損はないだろう。


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重厚な絵巻物的な犯罪映画である。同じマフィア物でもハリウッド映画とイタリア映画とはずいぶん肌合いが違うものだ。要するに見る者にあまりおもねらない、真の犯罪組織の怖さを指し示す。
それは主人公の「裏切り者」の表情の変化を見ていると手に取るようにわかるのだ。150分の長尺ものだが、同じ長尺物でも、先日見たクリストファー・ノーランのちんぷんかんぷんな「TENET」より数等よくできている。イタリアアカデミー賞、カンヌ映画祭出展作品。

 主人公はトマジーノ・ブシェッタというシチリア・マフィア組織いわゆるコーザノストラの自称一兵卒だが、力はもっている。彼は麻薬組織化しているマフィアをまとめようとしたが失敗して 、ブラジルに戻る。もともとブラジルで成功し巨万の富を得ていた。しかし敵対組織からの攻撃で家族を失い、自身もブラジル政府に逮捕されてしまう。拷問にも耐えるが、このままでは家族を守れないと考え、取引に応じてイタリアに戻る。最初はかたくなブシェッタもファルコーネ判事と出会うことにより次第に自身の事を語りだす。 
 原題は「IL TRADITORE」つまり裏切り者ブシェッタのことである。彼の証言がイタリア犯罪界に大きな波紋を投げかけるだけではなく、政界にまで影響を与えたという。
 権力争いのあさましさが肉弾で感じられるが、しかしそれはこのマフィアの世界だけでなくいかなる組織でも、起きている、権力闘争と何ら変わることがなく、その縮図であることを示している。〆


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著者の作品の「煉獄の獅子たち」の続編である。しかしこちらの作品の方が先に出ており、時系列的には前後している。つまり「煉獄の獅子たち」の後の物語となる。

 関東の暴力団の雄、東鞘会が内輪もめに終止符を打った後の物語である。東鞘会は警察の潜入者である十朱が支配。しかし十朱は警察とは縁を切り極道の世界に生きる。そんな中、警視庁の組織犯罪対策部の隊長、阿内は新たに兼高と云う男を東鞘会の下部組織の神津組に送り込む。兼高は経済やくざ化しつつある東鞘会のなかで、過激な暴力で、短期間で神津組の若頭補佐までのし上がる。

 そんなか、「煉獄の獅子たち」で内輪もめに敗れ、海外に逃避した神津太一が舞い戻り、東鞘会の会長の十朱を狙う。警察と神津太一、そして東鞘組の三つ巴の凄惨な争いが繰り広げられる。

 前作同様、過激な暴力描写がきついが、潜入捜査官の苦悩が色濃く描かれている。この作者の描く人物は、現実に存在しそうもないように思えるが、それにリアリティを吹き込むところが、すごいところ。
〆 


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骨太の犯罪映画、警察映画といって良いだろう。メル・ギブソンが老齢の刑事役を好演している。
この作品はかなりの長尺物だ。およそ160分。しかし決して冗長なところはない。それはこの作品が非常にがっちりした構造、すなわち起承転結で構成されているからだろう。あたかもクラシック音楽のソナタ形式のようだ。
 例えば「起」の部分ではこの映画の登場人物の紹介と描写である。強烈なのは主人公のふたりの刑事の登場シーンだろう。ブレット(メル・ギブソン)とトニー(ビンス・ボーン)は麻薬の密売人を張り込んで、突入するが、その際の犯人への尋問がまるでアメリカの黒人人種問題で全米を巻き込んだあの事件と全く同じだということだ。このショッキングなシーンは隠し撮りされTVに映る。そしてこのことがこれから承、転、結と続く犯罪に結びつくのだ。

 この映画のもう一つすごいところは、犯罪シーン、銃撃シーンは160分のうちのほんのちょっぴりである、例えばクライマックスの銃撃戦でも10分くらいであるが、そこにいたる、つまり犯罪に至る過程の描写、特に心理描写が実に緻密なことだ。犯人たちの心の動きが手に取るようにわかるようになっている。

 公開されたときにどの程度話題になったかはわからないが、このての作品を愛好する方には是非お勧めしたい。原題は「DRAGGED ACROSS CONCRETE」コンクリートの地べたを這いずり回ってと云う意味だろうか?

 


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「三秒間の死角」と云う 小説を原作にした作品。配役に重厚感があり面白く見た。珍しいのかどうかわからないが、これはポーランドマフィアの話でもある。

 主人公はピート・コズロー(ジョエル・キナマン)、ポーランド移民の2世である。イラクで狙撃兵になるが、帰国後心を病み、殺人を犯す。刑は20年だたった。妻と娘がいる。

 ポーランド移民ということに目をつけたFBI捜査官ウイルコックス(ロザムンド・パイク)、はピートに司法取引を持ち掛ける。ポーランド大使館を抜け穴に合成ヘロインを国内に持ち込みさばいている、ポーランドマフィアの組織、将軍と呼ばれる男に率いられている、を壊滅させるべく、情報屋(インフォーマー)として潜入させたのだ。
 しかしそれは輻輳した捜査のために失敗に終わり、ウイルコックスの上司(クライブ・オーウエン)からは打ち切りを宣言され、ピートは刑務所に逆戻り。しかしそこでピートは複数の集団から命を狙われる羽目になる。果たして結末は如何に?小説のタイトルの意味は最後でわかる。

 ピート役のキナマンの落ち着いた演技、パイクの熱血捜査官にNYPDの黒人捜査官が入り混じって見どころは満載だ。そうなると、クライブ・オウエンは何となく冴えない。彼もこういうしょぼい脇をやるようになったのか?と驚いた。
 潜入物の佳作。ポーランドマフィアの存在は知らなかったので興味深い。ただ描き方がロシアマフィアのコピーのようなものなので、もう少しオリジナリティが欲しい。殺し方(舌を切る)やポーランドの歌だけでは物足りない。例えば”将軍”のキャラクターの深堀などあったらいいなと思った。

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