2019年8月26日
マリアカラス

「私はマリア・カラス」
不世出のソプラノ、マリア・カラスの生涯をインタビューと公演映像とで綴る。映像は初出のものもあるらしいが、どれがそれかはよくは分からない。ただトスカやノルマの映像はよく見るが、本作の冒頭の映像は1958年の舞台、マダムバタフライの1幕の蝶々さんの登場シーンで、おそらく初出ではあるまいか?ここでは素晴らしい蝶々さんが聴ける。

 原題は「MARIA by CALLAS」である。主にインタビューではマリア・カラスの素顔をクローズアップしようとしているように感じた。1961年のローマでの失声症(気管支炎)でキャンセルした後のインタビューなどは生々しい。また良き夫と家族を夢見たが、その夢はオペラ歌手としての名声によりついえたと何度も云っているのが印象的だ。最初の夫との離婚やオナシスとの愛などは彼女の夢と現実とのギャップを感じさせる。そういう私人マリアの対極にあるのが大歌手カラスである。これは本作では多くの映像によってクローズアップしている。あるときはオペラ劇場で、あるときはリサイタルで。
 ただ私人マリアと大歌手カラスとの間のケミストリーというものがあまり感じられないのは少々物足りなかった。つまりカラスの私生活、例えば愛などが歌唱にどう影響しているのか?映像の羅列(失礼)だけではなくもう一味演出があったらよかったのではないかと思う。
 まあそういうことは置いといても、彼女のトスカやノルマでの劇的な歌唱には圧倒される。古い映像だが音質も良く、また映像も美しい。特にカラー映像の美しさは特筆すべきだろう。カラスファンのみならずオペラファン必見の映画だ。