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最近ネットフリックスと契約してからオリジナル映画を見るようになった。それぞれとても面白い。
アイルランドマフィアを描いた「アイリッシュマン」、イギリス史に残る考古学の大発見をした男の物語「DIG,時の闇」、ボニーとクライド事件と復活した老テキサスレンジャーズの物語「テキサスレンジャーズ」などである。それぞれ実話に基づいた作品であることが共通点である。しかも視点がニッチというか個性的であるのが良い。

 そういう意味でも今回見た「コードネーム・エンジェル」(原題はTHE  ENGEL)も秀逸。中東戦争におけるイスラエルとエジプトの謀略戦を描いている。通常ハリウッドだと、イスラエル側から見た映画になるが、これはエジプト側から見た中東戦争である。

 1967年ナセル大統領率いるエジプトはイスラエルに破れ、シナイ半島およびヨルダン川西岸などを失う。ナセルはロシアと組んででも失地を回復すべきと吠える。
 本作の主人公のアシュラフ・マルワンはナセルの娘婿で、外務省の高官(後になる)である。彼はナセルの息子ながら、ナセルのソ連寄りの政策に反対していて、むしろアメリカに近寄り、アメリカの力で失地を回復すべきと考えていた。そのためには短期的でよいから、反撃し、戦争で勝利をするという実績を作るべきと考えていた。

 やがて、ナセルは急死し、後継者のサダトが大統領になる。サダトはナセルのようなソ連寄りでなく、むしろアメリカ寄りで、次第にサダトはァシュラフを重用してゆく。ァシュラフは戦争をなるべく早く終わらせて、講和に持ってゆけるような諜報戦を考え、サダトの同意を取り付ける。ァシュラフが私生活を犠牲にして、中東の和平を考え行動するさまは英雄行為といって良いだろう。イスラエル側からもエジプト側からも後年評価されたという。

 歴史はカーター大統領の仲介でエジプトとイスラエル和平を見とどけている。2人の首相はノーベル平和賞を受けている。
 歴史に埋もれた人間はあまたいるが、このように丹念に掘り出す作業は清々しい。


 さて、ネットフリックスにくらべて、ツタヤの宅配はあまり良い作品がない。最近2作品を見たが、一稿を起こす気力もないような作品でここについで書きする。
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 一つは「コンタクト・消滅領域」、アフガニスタンのとある谷を挟んでフランス軍(国際平和治安部隊)の中隊が駐屯している。保護している村人たちとはあまり良い人間関係を築けていない。そんな中中隊から次から次へと失踪事件が起きる。つごう4名が行方不明となる。一方明らかにされていないが、村人の中からも行方不明者が出て、お互い疑心暗鬼になるというもの。結末はなんとなくよくわからないが、現代の神隠しらしい。中隊長のとった最後の行為は何とも痛々しいと思うのは私だけかもしれない。

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 もう一つはこれも謀略物。フランスの潜水艦チタン号がシリアから工作員を撤収させる作戦遂行中、異音を発見する。発見したのは音響分析官のシャントレッド、神の耳とも、靴下(靴を履かないで任務に就く)とも呼ばれている若者だ。最初その異音は潜水艦と判断するが、狼の唄声のような異音については最後まで自信が持てる分析ができなかった。結局作戦は成功するのだが、シャントレッドへの信頼は失墜する。
 しかしこの異音の発生源は、ソ連の原子力潜水艦だがすでに廃船になったものだった。それゆえシャントレッドも見逃したのである。しかしそれからしばらくのち、ミサイルがフランス目がけて発射された。発射源はソ連の潜水艦であるという分析の元、対抗のミサイル発射のためフランス側も原子力潜水艦を発進させる。このままでは世界戦争になる。
 そんな中、シャントレッドはこのミサイルは「廃船になった潜水艦」からのものだと分析する。果たして発射はソ連なのか、誰の手の物か?そしてフランス軍の行動はどうなるのか?

 この映画は時代背景がわからない。おそらく現代だと思うが、架空の時代の物語のようでもある。ソ連とフランス(西側)の対立している、冷戦時代かもしれない。そういうことなので、なんとなく絵空事のように思えてならない。フィクションにもそれなりのリアリティは必要かと思うのだが?