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映画評論である。著者は日刊ゲンダイの記者。2013年から20年までに掲載した映画評論286本から厳選した108本について編集してある。

 映画は7つのジャンルに分類してある。「あの事件の真相は」、「男と女、哀しき情念」、「バイオレンス&スペクタクル」、「世の中は不条理だ」、「青春のほろ苦さ」、「人間この愚かな生き物」そして戦争の悲劇である。
 娯楽大作よりも、人情の機微、人間関係の綾のほうが強調された映画がお好きなように見受けられた。私のようにどんどんぱちぱち、大娯楽巨編などは選択肢は少ない。例えば歴史ものは現代の戦争映画以外はカット。例えば「アラビアのロレンス」などは無視。西部劇は「駅馬車」と「シェーン」(ダントツにすごい映画だけど)だけ、SFもカット、例えば「エイリアン」や「ブレイドランナー」などだ。私の好みとはずいぶん違うようだ。参考までに私の好きな映画ベストは2009年5月14日のブログを参照。

 著者の評論の特徴は帯封に書いてある通り、映画評だけでなく、社会評、歴史評をまじえていることだろう。例えば現政権評や戦争に対する批判などは多くの評論の中に必ず含まれている。これは著者が「日刊ゲンダイ」という新聞の記者ということと、これらの評論がその新聞に掲載していることと関連があるに違いない。そういう視点で映画を見てゆくとまた新しい発見があってもう一度見てやろうという気にさせられる。ちなみに108本のうち私が見たことのある映画は58本。50本は見ていないのだから、まだまだ未知の世界があると思うとわくわくする。

 なお、一つ付け加えると、青春もののなかに「天井桟敷の人々」が入っていないのは残念だった。これは私のベストムーヴィーだ。