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重厚な絵巻物的な犯罪映画である。同じマフィア物でもハリウッド映画とイタリア映画とはずいぶん肌合いが違うものだ。要するに見る者にあまりおもねらない、真の犯罪組織の怖さを指し示す。
それは主人公の「裏切り者」の表情の変化を見ていると手に取るようにわかるのだ。150分の長尺ものだが、同じ長尺物でも、先日見たクリストファー・ノーランのちんぷんかんぷんな「TENET」より数等よくできている。イタリアアカデミー賞、カンヌ映画祭出展作品。

 主人公はトマジーノ・ブシェッタというシチリア・マフィア組織いわゆるコーザノストラの自称一兵卒だが、力はもっている。彼は麻薬組織化しているマフィアをまとめようとしたが失敗して 、ブラジルに戻る。もともとブラジルで成功し巨万の富を得ていた。しかし敵対組織からの攻撃で家族を失い、自身もブラジル政府に逮捕されてしまう。拷問にも耐えるが、このままでは家族を守れないと考え、取引に応じてイタリアに戻る。最初はかたくなブシェッタもファルコーネ判事と出会うことにより次第に自身の事を語りだす。 
 原題は「IL TRADITORE」つまり裏切り者ブシェッタのことである。彼の証言がイタリア犯罪界に大きな波紋を投げかけるだけではなく、政界にまで影響を与えたという。
 権力争いのあさましさが肉弾で感じられるが、しかしそれはこのマフィアの世界だけでなくいかなる組織でも、起きている、権力闘争と何ら変わることがなく、その縮図であることを示している。〆