2394c56f3744a573
 久しぶりに怖い、サイコスリラーを見た。その要因はグレタを演じたイザベル・ユベールだろう。じっと立っているだけで不気味だ。
 主人公はフランシス(クロエ・グレース・モレッツ)、大学を卒業してそのときの友人エリカ(マイカ・モンロー)のマンションに同居している。フランシスは母を亡くしたばかり、父とは別居。孤独な毎日だが、エリカとの友情が唯一の救いになっている。夜は高級レストランでウエイトレスをしている。舞台はニューヨークである。

 ある晩、フランシスは地下鉄で帰宅中、高級なバッグの落とし物を発見する。地下鉄の遺失物係りに届けたが、深夜故、クローズ。そこで自宅に持ち帰り翌日届ける。
 バッグの中身にあった証明書にはグレタ・ヘディッグとあり住所も記載してあったからだ。グレタは夫を亡くし、一人娘はパリに留学中ということで、同じく孤独なフランシスの心に入り込む。しかしフランシスにはおそるべき事態が待っていたとは、その時は誰も気が付かなかった。

 グレース・モレッツはもうずいぶん女優歴が長いが、まだ23歳なのだ。ティーンのころから小妖精的な魅力があったが、随分大人になってまた違った魅力が出てきたようだ。いろいろな役でもうおなじみの俳優だが、何か一発良い映画に巡り合いたいところだ。今回の作品はその萌芽を感じる。
 エリカ役のマイカ・モンローの好演も光る。結局この3人の芝居で、まるで舞台劇のようだ。静かなサイコスリラー、やはり怖い。