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 斎藤道三の国盗り物語が話の軸だが、司馬遼太郎とは随分と肌合いの違う作品になっていて、斎藤家の国盗りの違った面白さを描いている。
 オリジナリティのあふれる部分は、親子四代にわたる、斎藤家の国盗り物語と云うことである。
この小説では斎藤道三とその父法蓮坊こと松波庄五郎が主人公であるが。道三の祖父の松波高丸や道三の息子の義龍までが重要人物として描かれているのである。
松丸は出番は少ないが、キーパーソンになる。北面の武士と云う血筋にもかかわらず、没落し、銅金拾いで生計を立てている。しかしこの銅金がこの作品の狂言回しのような「国滅ぼしの武器」のキーパーツになっている。高丸はそのことだけでの登場だが、かなり重要。
 彼の息子が法蓮坊で美濃の国盗りを画策する。ならずものを何人か部下にして美濃に乗り込むのである。道三は法蓮坊(松波庄五郎のちに長井新左エ門など)と三芳野との間にできた長男、ここでは土岐頼芸の妾の子と云ういい加減な説は取っていない。そして道三の長男が豊太丸、後の義龍である。これらに人物に土岐家や斎藤家、長井家などがからみ、戦国絵巻が展開される。

 最後まで「国滅ぼしの武器」が種明かしにされないのでいらいらするが、云われてみれば油商人の高丸の子孫、算術の得意な道三らしい目の付け所。結局このおかげで美濃は安定した国になったといえよう。国盗りは何のためにするのか?民のためにする、ではそれはどういうことなのかを、この作品では
斎藤道三の父、祖父、息子4代で指し示すことになる。

 大変面白く独創的な国盗り物語だった。