2017年12月29日

今年の映画界を振り返って思うことは実に不作だなあということだ。そのまえに私の映画へのスタンスを記そう。過去にもプロフィールに載せたと思う。
 見る映画のジャンルは基本的には下記の通りだ。
 サスペンス、アクション、推理もの、スパイ、戦争、西部劇、歴史劇、宗教にかかわる歴史、犯罪映画
 社会派,警察もの、裁判もの、SF,ホラー、オカルト、政治劇。

 ほとんど見ない映画
 コメディ、ラブロマンス、恋愛もの、青春もの,学園もの

以上の枠組みに限って言うとみるべき映画はわずか1本しかなかった。それはスコセッシ監督の
「沈黙」である。過去日本でも映画化された重いテーマの作品である。今回の作品の成功はキャストだろう。要するに西洋人と日本人の俳優に胡散臭いやつはいなく適材適所だったということだろう。特にイッセイ尾形や浅野忠信、窪塚などの邦人俳優は誠に素晴らしい演技である。この作品の重さは言うまでもないことだろうが宗教を信じる者に神が救いを差し伸べないとき信じる者は如何にすべきか?それでも教えを守るべきか、転ぶべきか?私たちの日常でも突き付けられているテーマではあるまいか?

その他はタイトルだけ列挙しよう。
・日本映画では唯一「64・ロクヨン」のみ、原作への味付けが好みの別れるところ

・「ジョイ」、普通の米女性の成り上がり物語、ジェニファー・ローレンスで見たようなもの

・「ブラック・ファイル」、これも一種の成り上がり物語だろう、薬害訴訟との絡み

・「マグニフィセント7」、リメイク版、今の西部劇の在り方を示している。

・「栄光のランナー」、ジェシー・オーエンスの物語だが、肝は人種差別である。

・「われらが背きしもの」、ル・カレの原作、設定が冴えているスパイ映画だ

・「手紙は覚えている」、ナチものだが、痴呆を絡めたユニークな作品

・「アイ・インザ・スカイ」、人と人が戦場で戦わないドローンウオーを描く

・「トランボ」、ハリウッドの赤狩りの犠牲になった天才脚本家のトランボを描く

・「ニュートン・ナイト」、南北戦争のさなか自由と平等を主張し独立州を立ち上げる男の物語

・「汚れたミルク」、パキスタンのミルク公害を描く

・「善悪の刃」、「弁護人」、2作とも韓国映画、いずれも冤罪ものだが、韓国社会を垣間見る

・「ライオン」、インドの少年の数奇な運命。

・「湿地」、珍しいアイスランドの映画、アイスランドの冷たい空気を感じる警察映画
以上はほとんどDVDで見た。映画館に行ってまで見たくなる映画がない。また何度も書いている理由だが、あのテレビジョンに毛の生えたような狭い空間で見たくない。東京でゆったりとみることができるのは有楽町のシネマコンプレックスと丸の内東映、日比谷のスカラ座くらいだろう。