2014年12月13日
於:サントリーホール(1階17列中央ブロック)

東京交響楽団、第626回定期公演
指揮:ジョナサン・ノット

ワーグナー:ジークフリート牧歌
ブルックナー:交響曲第三番「ワーグナー」

サントリーホールについたのが開演5分前。初台と六本木とはけっこう離れているんだと再認識。
 ほぼ座ったとたんにジークフリート牧歌が鳴りだす。ドイツカンマーフィルの細身で薄手の音とは違った柔らかく滑らか音。これはこれで又実に良い。この心地よい響きにひたすら浸る。

 ブルックナーは1873年の初稿版(ノーヴァク版)。日ごろ聴いているカラヤン盤は1888/9年の第3稿なのでなんとなく違うが、まあこの曲はあまり聴きこんでいないので、細かくはわからない。
 2楽章が後年のブルックナーの名曲の緩徐楽章に勝るとも劣らない美しい音楽だと改めて感じた。2つのセットの主題がどれも美しく、3度現れるがそのたびにぞくぞくする美しさである。1楽章のスケールの大きな音楽も魅力だ。ただ屹立するゴシック建築のようには聴こえず、雪をかぶったアルプスの様な清楚な趣。超重量級のブルックナーではなく、明快かつ明晰でこれがノット流なのだろう。時には冷たくクールに感じるが今夜の演奏はこのスタイルで成功していると思った。終楽章はブルックナー休止の連発で信号の多い道路を走っている趣。ここは苦手な楽章だ。最後に1楽章の第1主題が帰ってきた時はほっとする。東響は先日のマーラーに引き続いて絶好調である。4楽章のコーダの凝集力に富んだ音には圧倒された。演奏時間は65分。