2014年5月24日
於:サントリーホール(1階17列中央ブロック)

東京交響楽団、第620回定期演奏会
指揮:ユベール・スダーン
バリトン:フランコ・ポンポーニ(ペンデレツキ)
テノール:与儀 巧(ベルリオーズ)
合唱:東響コーラス、東京少年少女合唱隊


ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」
ペンデレツキ:3つの中国の歌(日本初演)
 1.神秘の笛
 2.月出ずる夜
 3.夜の風景

ベルリオーズ:テ・デウム

元音楽監督のスダーンによる意欲的なプログラム。もともとテデウムは2011年3月に演奏される予定だったが、震災のため本日に延期されたといういわくつきの曲目である。

 まず「ローマの謝肉祭」、この聴きなれた曲が実に新鮮に鳴る。始めと終わりの元気な部分は生き生きととフレッシュであり、中間のイングリッシュホルンから舞踊風のリズムを刻む部分は、なんと爽やかに心に響くのであろうか?この曲を再発見した気分だ。

 ペンデレツキは日本初演だから初めて聴いたもの。マーラーの「大地の歌」と同じ漢詩をドイツ語に訳して歌詞にしている。両曲とも訳は同じ人でハンス・ベートゲである。曲は2008年初演だが、その割には聴きやすい。前衛作曲家のペンデレツキもこう云う部分があるのか、とちょっと驚いた。まあ初めて聴いた曲だから演奏を含めてうんぬん云えない。

 さて、目玉のテ・デウム。初演はなんと900人で演奏されたそうだ。今日は300人強か?パリ万博を記念しての演奏だったらしい。インバルのCDでこの曲を知ったわけだが、初めて聴いた時には少々面食らった。宗教音楽とは到底思えない。まあ歌詞はそうだから宗教音楽なのだろう。特に賛歌の部分はにぎやかというか華やかである。流石に祈りの部分はしっとりしているが?同じ1000人近い演奏家で初演したマーラーの1000人の交響曲の様な精神的な高揚感の様なものはあまり感じられなくて、音のシャワーを浴びるという生理的快感のほうが大きいように思った。
 スダーンの演奏もまあどうしてもそういうようになってしまう。大変勇ましいものだ。ただこれだけの人数で演奏した割にはサントリーホールが鳴動するような感じはあまりしないのはオーケストラの非力さなのだろうか?先日のローマ歌劇場のオーケストラのほうがずっと迫力を感じた。まあホールが違うので同列には云えないと思うが!
 曲は全部で6曲から構成されている。初演の時は「全ての御使い」と「なし給え」の間にオーケストラのみのプレリュードが入り、最後の「裁く方として」の後に行進曲が入る。この2曲は今夜は慣例でカットされているがインバルのCDでは両方とも収録されている。軍事用の祭典などで演奏されるためにベルリオーズが書いたそうである。この6曲版で演奏時間は42分.
 なおこの曲は2013/12/6にN響/デュトワで聴いているが同じ印象だったから、こう云う曲なのだろう。