2013年11月24日
於:オーチャードホール(1階25列中央ブロック)

東京アカデミッシュカペレ、第46回演奏会
指揮:中田延亮

ブルックナー:ミサ曲第二番
ブルックナー:交響曲第八番

東京アカデミッシュカペレはアマチュアのオーケストラと合唱団の共存する団体である。
それにしても、今日のプログラムは凄い。ブルックナーの大作が2本である。聴き手も楽ではない。
 ミサ曲二番は合唱と管楽器によるもので、教会での演奏を意識した曲だとのことである。初めて聴く曲で何とも言いようがないが、こう云う曲なのかもしれないが、合唱に元気がないのか、力一杯歌っていないのか、グロリアやクレドなどあまり盛り上がらない。最後のアニュスデイで初めて心に音楽が届いた感じ。ソプラノが特に非力に思った。
 交響曲は大熱演である、がしかし、私にはかなり居心地の悪い演奏であった。1楽章の提示部は力があってなかなかよかった。しかし主題をつなぐ経過の部分の音楽がなんとももたれていけない。休止もむやみに長く、音楽の流れを阻害している。ただ最後の第一主題の盛り上がりの力強さは相当のもの。2楽章のスケルツォは勢いがあって素晴らしい推進力を感じる。オーケストラも燃え上がっている。しかし展開部やトリオの部分の音楽は、もっさりとして、停滞感を感じる。心に響いてこないのである。スケルツォの反復のコーダの部分、終わり方も何か余分なことをして、作為的なものを感じて、せっかくの音楽の勢いに水を差している。
 3楽章が最も問題だろう。提示部はストレートなのだが、展開~再現部に音楽が進むうちにどんどん細部にはまりこんでいるようで、音楽が流れず、この素晴らしい楽章を聴いても全く何も感じないのは困りものだ。音楽に妙なためがあったり、休止の長さが不自然だったりして、自然な流れを阻害している。コーダの部分もだらだらと長いだけだ。
 4楽章の提示部の力強さはブルックナーの本来持っている力だ。音楽に任せればこんなに素晴らしい演奏になるのに!ティンパニの炸裂や輝かしい金管も若々しさが一杯で聴きごたえ十分である。しかしここも音楽が進むうちに、迷子になってしまう。音楽は流れずに停滞するので、聴いていて何も感じない。コーダの前の盛り上がりも腰砕け。コーダも流れが不自然、作為的なものが透けて見えて感動からほど遠い。終わり方もわざとらしさが鼻につく。
 こういうブルックナーだってあっても良いだろうが、私には日ごろ聴きなれているものとはかなりかけ離れていて、ついて行けない、オーケストラは大熱演なのに、指揮者の空回りばかり耳について、残念な結果になったと云わざるを得ない。
ノヴァーク版で演奏時間は89分。                   〆