2012年8月11日
 
ツタヤディスカスという便利なものを紹介いただいてからますます映画に対してものぐさになってしまった。まず映画館に今まで以上に行かなくなったし、レンタルショップにも行かなくなった。とにかくツタヤのシステムは1カ月も借りられて、コストは月に2000円未満で済むのだから誠にありがたい。しかも見たい映画を登録しておくと、返却したらすぐ次のものが送られてくるので途切れがない。しばらく映画館には行かないだろうと思っていたら、リドリー・スコットの「プロメテウス」が面白そうで、これは絶対見に行くつもりである。
 
「127時間」 ジェームス・フランコ主演
ブルージョン渓谷の狭間に落ち、右腕が岩に挟まり動けなくなる。主人公は少々脳天気な気の良い男だけに少々気の毒。これは実話に基づく話、脱出するシーンは凄まじいが、あとは単調で眠気を誘う。結局妄想や幻想、回想シーンの映像の羅列にしかならないからだろう。原作はあるそうだからこれは本で読むべきだろう。
 
「ロシアン・ルーレット」、サム・ライリー、レイ・ウインストン、ミッキー・ローク、ジェーs-ン・ステーサムなど主演
究極の博打、ロシアン・ルーレットを主題にしたドラマ。ロシアン・ルーレットといえばデニーロ主演の「ディア・ハンター」を思い出す。クリストファー・ウォーケンとの対決は凄かった。本映画はロシアン・ルーレットにフォーカスしているだけにその究極の恐ろしさを感じる。人間が極限に追い込まれた時の恐怖を!そこでは人の本性が赤裸々となる。しかしそれを強く感じさせるのは一癖もふた癖もある俳優たちを配しているからだろう。冒頭から結末まで息をのむばかり。予想以上の佳品。リメイク作品。
 
「プリンセス・トヨトミ」、中井貴一
万城目学の小説の映画化。原作は読んでいない。あまりにバカバカしく支離滅裂さに呆れるばかり。特に後半は眠気を誘う。ポリティコンのような政治思想劇と思ったら全然そうではなく、出だしの豊臣秀頼の子孫という話ではとても面白い映画になるのではと期待したのだが!結局父と子がモティーフなのだろうか?私にはドラマがまるで感じられなかった。こんな映画を作っているから邦画は見る気がしないのだ。
 
「3デイズ:原題はnext three days」、ラッセル・クロー、ブラウアン・デネヒー、リーアム・ニーソン
殺人罪で長期刑を宣告された教師の妻、控訴も認められず、長期囚の入る刑務所に移送されるまで3日しか余裕がない。妻を救うために脱獄を計画する夫役がラッセル・クロー。こういうのははまり役だ。オリジナルはフランス映画「彼女のために」のリメイク版である。ロシアン・ルーレット同様、あまり期待していなかったがこれも予想外に面白かった。その要因は男優陣が粒ぞろいであると云うことに尽きる。ラッセル・クローはこういう直情径行型の役はぴったりだし、リーアム・ニーソンらの脇役も粒ぞろい。刑事役の2人も派手さはないが存在感はあった。荒唐無稽な話ではあるが作りに筋が通っていれば本物らしく見えるのである。
 
「悪魔を見た」、イ・ビョンフォン
140分の長尺もの。血みどろの陰惨な映画で少々辟易する。イ・ビョンフォン演じる主人公による復讐劇。韓国らしく(失礼)実にしつこい。まあ犯罪が半端でなく残忍なので、復讐もやむを得ないと思わせられる。イ・ビョンフォンは少々かっこいいが、復讐してゆくうちに自分の人格も崩れてゆくのが見もの。この変化は実にリアルで恐ろしい。でももっと恐ろしいのは猟奇殺人犯のチェ・ミンスクだ・彼の演技は真に迫っている。一見弱弱しく見えるがそれは見せかけで、要するに人を傷つけたり、犯したり、殺したりすることに何の感情もない異常な男を演じている。最後はどちらが悪魔かわからなくなるが、見終わった後少々疲れる。
 
「フェア・ゲーム」、ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン主演
イラクが核兵器や大量破壊兵器を製造しているという情報に基づき、ブッシュはイラク/フセインに侵攻する。しかし実際は大量破壊兵器などなかったのだ。マット・デイモン主演の「グリーン・ゾーン」も似たようなテーマを扱っているがそちらは実際の戦場での物語。この映画はワシントンが舞台でCIAとホワイトハウスの政争劇だ。実在のCIA要員のナオミ・ワッツと夫のショーン・ペンがその渦に巻き込まれる。最初はスパイ活劇かと思ったが、ショーン・ペンはそんな映画には出ないだろうと思っていたら、やはりそう単純な映画ではない。アメリカの社会の公正さがテーマだろう。テーマは重たいが、正直いって話がポンポン進むので少々慌ただしい。全体に軽い。もう少しじっくり構えて作れば更に重量感が出てくるのではないだろうか?こういうテーマを映画にしてしまうアメリカ映画と云うのはいつも感心させられる。ショーン・ペンは相変わらずキーキーとうるさい。演技派なのだろうが私には鼻につく演技としか思えない。ナオミ・ワッツはどんな役をやってもうまくやるが、私にとってはいつも印象が希薄なのが可哀想だ。
 
「マージン・コール」、ケヴィン・スペイシー、デミ・ムーア、ジェレミー・アイアンズ
マージンコールとは証券界の用語で追加証拠金請求のこと。アメリカの不動産バブルが弾けてMBS(不動産担保証券)の価格がさがるなかで、危機にひんした投資会社がそれをどのようにしのいでゆくか、という物語。会社の資本が毀損してゆくことが分かってからそれに対処するまでの24時間のドラマである。ここには男たちの金融世界での血みどろな生き残りの物語があるが、更にはアメリカにおける成功、金、競争とは何かが赤裸々に語られれているのが印象的だ。ただこの映画にはそれに対して批判の眼はあることは間違いないが、その視線は弱い。ウォールストリートをもう少し凝縮させた佳品。投資会社のトップのジェレミーアイアンズが素晴らしい。
 
「ブラッド・アウト」、ヴァル・キルマー
殆ど見たことのない俳優さんばかり。相当できの悪いB級アクション。でも最後まで見てしまう自分が情けない。結局最後まで出来が悪かった。
ブラッドアウトという言葉は辞書にも載っていない。まあ話の筋から云うと血盟した組織から足抜けするなら血で償えと云う意味らしい。警察官の弟がその組織の一員で、足抜けしようとして殺されてしまう。兄はその仇討ちを行うと云う話。兄が組織に潜入するのだが、まああまりにも簡単に潜入できたり、あっというまにナンバー2になってしまうなど話はめちゃくちゃ。芝居も臭く少々恥ずかしい。
                                                       〆