2012年8月11日
於:トリフォニーホール(1階28列中央ブロック)
 
新日本フィルハーモニー交響楽団、第24回新クラシックへの扉
指揮:山田和樹
ピアノ:萩原麻未
 
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:ピアノ協奏曲
サンサーンス:交響曲第三番・オルガン付
 
欧州のコンクールで優勝した、日本の若い2人の演奏家による、フランスの作曲家のポピュラーな作品で構成されたコンサート。猛暑にもかかわらずほぼ満席。
 ラヴェルのパヴァーヌはもう殆ど聴くことはないが、久しぶりに聴いて、とても素敵な曲だと、改めて感じた。ホルンから入って木管群に引き継ぐのだが、どの奏者も美しく聴き惚れてしまう。
 ピアノ協奏曲は2楽章が素晴らしい。冒頭ピアノのソロがしばらく続くが、この音楽の透明さには驚きとしか言いようがない。そして後半のイングリッシュホルンとの掛け合いは更に素晴らしく、音楽が永遠に続くのでは思わせるような趣。両端楽章の生きの良さはこの若いコンビの真骨頂だろうが、私は2楽章に感銘を受けた。いやいや弾いたようなアンコールはドビュッシーの亜麻色の髪の乙女。彼女の演奏ではなく、立ち居振る舞いに一言。入退場がよちよち歩きのてれんこタイプなので少々だらしがない。内田みたいにきびきびした振る舞いもこれから国際舞台で活躍するには必要ではないだろうか?まあ本質論ではありませんが!
 オルガン交響曲は1年に一回は聴きたいものだ。第2部の4楽章に当たる部分の冒頭の壮大なオルガンの響きを聴いただけでぞくぞくしてしまう。トリフォニーのオルガンは初めてだと思うが素晴らしい響きには圧倒されてしまった。ただ1部の2楽章に当たる部分のオルガンはアンセルメ/スイスロマンドの録音に毒されているせいか、少々物足りない。このCDは1961年に録音されたものだがオルガンの音は発売当時から評判だった。今聴いても凄いもので、家が揺れる感覚。足元に低音が忍び寄ってくる感覚、まあこれは聴いていただかなくてはわからない。ただある程度以上の装置でないとウーファーがぼーぼー云うだけでこの音の魅力は味わえないだろう。まあこれは完全に録音芸術の領域で、ライブでは決してこのようには鳴らない。今日のトリフォニーのように、密やかに、荘重に鳴り響くのである。
 山田の指揮は振幅が大きくて一気呵成に聴かせると云うタイプではないように感じた。アンセルメはかなり遅く全体にゆったりとしたつくりだが、山田もどちらかと云うとその系統。バレンボイム/シカゴの録音は山田より一割くらい早くて一気呵成タイプ。好みとしては最近はバレンボイムタイプが好きだ。年をとって気が短くなったせいだろう。
                                                        〆