2010年7月11日
於:東京芸術劇場(2階E列中央ブロック)
東京都交響楽団、東京芸術劇場シリーズ「作曲家の肖像」:シューマン
指揮:下野竜也
ピアノ:ジャン=マルク・ルイサダ
オールシューマンプログラム
「謝肉祭」ラヴェル編
ピアノ協奏曲
交響曲第三番「ライン」
謝肉祭はピアノ曲をラヴェルがちょうど展覧会の絵のように編曲したもの、前口上、ドイツ風ワルツ、間奏曲「パガニーニ」、ペリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進の4曲からなる。展覧会の絵と比べるとちょっと物足りなさが残る。管弦楽化する必然性があまり感じられない編曲。ラヴェルが完成し切れなかったのはわかるような気がする。でも今日はオーケストラの鳴りが悪いなあ。ホールのせいか?天候のせいか?
ピアノ協奏曲はルイサダの繊細なピアノの音に耳を奪われる。決してダイナミックレンジは狭くないのだが弱音に耳が行ってしまう。ただテンポが全体にゆるいせいか冗長な面があってちょっと聴く側(私)が弛緩してしまう部分があったように感じた。そのような中で2楽章の美しさは印象に残った。また1楽章のカデンツァはなかなか自分のイメージどおりの演奏にお目にかからないが、ここではテンポを上げずに自分のイメージに近いものが聴けた。大体ここは最初ゆっくりで最後は驀進といったパターンが多いのだがルイサダは終始一貫したテンポであった。こういう演奏が好きだ。3楽章は主題を一歩一歩踏み締めるような堂々とした演奏。オーケストラはサポート役に徹したようだ。なおアンコールはシューマンのパピヨン。
ラインはシューマンの中では最も好きな曲の一つである。カラヤン/ベルリンを永年ベストにしていたが予習のつもりで本箱の中に忘れられていたクーベリック/バイエルンを聴いてみたらカラヤンよりずっと落ち着きあり、それより何よりドイツの森を思わせるようなオーケストラの音に魅了され、今はこのCDがベスト盤だ。下野は1楽章からやけに威勢が良く飛び出してゆく感じで少々落ち着かない。ここはもう少しどっしり構えてほしかった。それと音色が少しさっぱりしすぎて、しょうゆ顔のシューマンのように聞こえる。オーケストラもあまり元気がないように感じられる。ティンパニもドロドロと冴えない音。金管も2階席まで刺すようには聴こえてこないので少々欲求不満が残った。
〆
於:東京芸術劇場(2階E列中央ブロック)
東京都交響楽団、東京芸術劇場シリーズ「作曲家の肖像」:シューマン
指揮:下野竜也
ピアノ:ジャン=マルク・ルイサダ
オールシューマンプログラム
「謝肉祭」ラヴェル編
ピアノ協奏曲
交響曲第三番「ライン」
謝肉祭はピアノ曲をラヴェルがちょうど展覧会の絵のように編曲したもの、前口上、ドイツ風ワルツ、間奏曲「パガニーニ」、ペリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進の4曲からなる。展覧会の絵と比べるとちょっと物足りなさが残る。管弦楽化する必然性があまり感じられない編曲。ラヴェルが完成し切れなかったのはわかるような気がする。でも今日はオーケストラの鳴りが悪いなあ。ホールのせいか?天候のせいか?
ピアノ協奏曲はルイサダの繊細なピアノの音に耳を奪われる。決してダイナミックレンジは狭くないのだが弱音に耳が行ってしまう。ただテンポが全体にゆるいせいか冗長な面があってちょっと聴く側(私)が弛緩してしまう部分があったように感じた。そのような中で2楽章の美しさは印象に残った。また1楽章のカデンツァはなかなか自分のイメージどおりの演奏にお目にかからないが、ここではテンポを上げずに自分のイメージに近いものが聴けた。大体ここは最初ゆっくりで最後は驀進といったパターンが多いのだがルイサダは終始一貫したテンポであった。こういう演奏が好きだ。3楽章は主題を一歩一歩踏み締めるような堂々とした演奏。オーケストラはサポート役に徹したようだ。なおアンコールはシューマンのパピヨン。
ラインはシューマンの中では最も好きな曲の一つである。カラヤン/ベルリンを永年ベストにしていたが予習のつもりで本箱の中に忘れられていたクーベリック/バイエルンを聴いてみたらカラヤンよりずっと落ち着きあり、それより何よりドイツの森を思わせるようなオーケストラの音に魅了され、今はこのCDがベスト盤だ。下野は1楽章からやけに威勢が良く飛び出してゆく感じで少々落ち着かない。ここはもう少しどっしり構えてほしかった。それと音色が少しさっぱりしすぎて、しょうゆ顔のシューマンのように聞こえる。オーケストラもあまり元気がないように感じられる。ティンパニもドロドロと冴えない音。金管も2階席まで刺すようには聴こえてこないので少々欲求不満が残った。
〆
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