密室殺人事件、謎解き名探偵ものである。タイトルのナイブズアウトは「KNIVES ARE OUT」と云う成句からきているようだ。互いに敵意をむき出しにするということである。
副題の「名探偵と刃の館の秘密」は舞台となった館が刃の館とはしらなかったので意味不明のタイトルだ。最後でわかるのだが!
さて、ミステリー作家のハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)はすでに8000万部を売っているベストセラー作家。大豪邸に住んでいる大金持ち。85歳の誕生日家族が集まるが、翌朝看護師のマルタ(アナ・デ・アルマス)が死体で発見。喉を短剣で掻き切っていて、警察は自殺と判定。しかしそこに私立探偵のブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が登場。名前からしてフランス人系でポワロのパクリ風。しかしブノワ氏は依頼者を知らないという。
調べてゆく過程で長男夫婦と息子、次男夫婦と息子、三男の未亡人と娘ら残された家族はそれぞれハーランとトラブルを起こし、敵意を持っていた。そして、ハーランの遺産に期待をしていた。
ブノワ氏は看護師のマルタが最後にハーラン氏に会ったことや、彼女の素直な性格から、ワトソン君に任命し、警察とともに他殺の線で捜査をしてゆく。話はとんでもない方向に広がってゆくが、果たしてアメリカのポワロはうまく解決するだろうか?
凄惨な死体がある事件の割には作りは渋いユーモアに包まれているようだ。金持ちの事件だけに何となく他人事のよう。社会派でなく謎解きだからこれでも良いのだろう。ただマルタはウルグアイかエクアドルか(人によって言い方が変わるので正確には誰も知らないのかも)の移民で、特に母親は不法移民と云う設定にしているのが、今のアメリカ社会を垣間見る思いだが、物語としてはシンデレラストーリーにする以外は意味のない設定だと思う。
俳優陣はクリス・エヴァンス、ドン・ジョンソン、マイケル・シャノン、ジェイミー・リー・カーティスなど勢ぞろい。少々オーバーなアクションがこの映画のミステリーとしての性質を物語っている。
文句ばかり言っているが話としては大変面白かった。
〆