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2019年3月1日

「マグダラのマリア」、ルーニー・マーラ、ホアキン・フェニックス、チトウエル・デジョホー

 ユダヤのマグダラのマリアの物語。12使徒には入らないが、キリストの伝道に加わり、キリストの磔刑に立ち会い、そして復活にも立ち会ったといわれているが、一方娼婦ともいわれ、またキリストと結婚していたという話も伝わるなど、キリスト史に名を残している。
 本映画では、ほかの使徒たちは現実の世界での神の王国を夢見て(ペテロやユダ)、武力闘争も辞さない姿勢だったが、キリストとマリアは心の王国という概念を共有しあったという設定になっている。キリスト死後のマリアと他の使徒、特にペテロとの対立は興味深い。またユダの裏切りもなるほどと思われる解釈になっていて興味深い。

 紀元33年、マグダラのマリアは父親から結婚を勧められる、しかし彼女は気が進まず、むしろ信仰に生きる道を望む。伝道に来ていた、キリスト教団に帰依し、12使徒とともに伝道の旅に加わる。旅の中でのキリストとの対話で、神の国の概念に新しい世界を見出す。常に従属を強いられる女性の立場から、キリストへの共感を見出すところが現代的といえようか?

 マリア役のマーラの自然な演技は共感を呼ぶ。33歳のキリストにしてはホアキン・フェニックスは適役とは言えまいが、最近のこの俳優に漂う、オーラのようなものが役を作る。人種差別ではないが、ペテロを黒人が演じるのは、何かぴんと来ない。あまり期待してみた映画ではないが、予想外に面白かった。