2015年10月29日
於:紀尾井ホール(1階10列中央ブロック)
カルミニョーラ/ヴェニスバロックオーケストラ、来日公演
ジェミニアーニ:コレッリのヴァイオリンソナタ「ラ・フォリア」によるコンチェルト・グロッソ
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「お気に入り」RV277
J・S・バッハ:ヴァイオリン協奏曲 BWV1042
J・S・バッハ:ヴァイオリン協奏曲 BWV1056
ヴァイオリン協奏曲 BWV1041
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「ムガール大帝」RV208
アンコール
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲(2つのヴァイオリンのための2重協奏曲)
BV516から1,3楽章
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「よろこび」RV180からアレグロ
ヴァイオリン協奏曲集「四季」から「夏」第3楽章RV315
2010年12月1日以来のカルミニョーラとヴェニスの公演である。相変わらずサービス精神旺盛の愉悦に満ちた公演だった。
1曲目はヴェニスだけの演奏である。まあ小手調べか、顔見せかいつものパターンである。ヴェニスの構成はヴァイオリン×7、ヴィオラ×2、チェロ×2、コントラバス、リュート、チェンバロ。チェンバロは若い女性が弾いていた。ヴァイオリンとヴィオラは立って演奏するスタイルである。いつも思うのだがカルミニョーラがいないせいか、最初の曲のせいか、いつも出足は音色が硬い様な気がする。ホールに音がふぁーと拡がって聴こえないのである。
カルミニョーラが入ってきてからはバッハとヴィヴァルディからそれぞれ3曲、2曲で、アンコールはオールヴィヴァルディである。ムガール帝を除いて全て我が家で聴けるので早速聴いてみた。バッハはシェリング/マリナー(1976年)、ヴィヴァルディは全てカルミニョーラである。ただしオーケストラは一部ヴェニスではない。
まずバッハである。今夜の2曲目はチェンバロ協奏曲を改編したものなので初めて聴く。残りの2曲はおなじみの曲である。全体の印象はどうも私には居心地が悪い。緩徐楽章はカルミニョーラらしく歌っていて聴き応えがあるが、両端楽章はいずれも駆け足で落ち着かない。これが古楽の演奏と云ってしまえばそれでおしまいだが、シェリングの悠然たるテンポの演奏を40年近く聴いている者にとってはとても単調に聴こえて、だんだん飽きてくるのである。カルミニョーラ/アバドのモーツァルトの協奏曲も何か慌ただしい演奏だったが、バッハにしろモーツァルトにしろもう少し落ち着いて聴きたいものである。
これがヴィヴァルディになるとまるで雰囲気が異なって来るのである。やはりカルミニョーラはヴィヴァルディである。RV277は20年ほど前の録音のCDを聴いたが、やはり今夜のほうが全体にゆったりとして素晴らしい。特に2楽章のやるせない様なヴィヴァルディ節×カルミニョーラ節はこれ以上考えられないような演奏である。
ムガール大帝は初めて聴く曲である。タイトルにあわせてえらく大ぶりの曲で、ヴィヴァルディにしては背伸びし過ぎではないかという印象であるが、カルミニョーラの技巧を楽しむには良い曲かもしれない。
アンコールの3曲はいずれも素晴らしい曲ばかりで、特にBV516はムローヴァとの共演のCDをよく聴いていて大好きな曲である。そいうこともあって今夜一番楽しめたのはこの曲である。1楽章のアレグロ・モルトは2丁のヴァイオリンのおいかけっこであり、スリリングな曲である。今夜はヴェニスのリーダーが2丁めを弾いていた。これは音楽を聴くことが快感につながる典型的な例である。この愉悦に満ちた音楽はヴィヴァルディの真骨頂であろう。最後の夏の3楽章は相変わらず威勢がよく、先日聴いたイムジチの演奏が寝ぼけて聴こえるほどである。ただ圧倒的なスピード感は2007年の録音のCDのほうがある。いずれにしろこれは従来の四季とは一線を画した演奏であることは間違えない。
今夜の様にバッハとヴィヴァルディを並べて聴くと、バッハファンには怒られるかもしれないが、ヴィヴァルディのほうが数倍楽しいように思うのだが!音楽史をひも解くまでもなくその当時バッハはローカルな作曲家であり、ヴィヴァルディは世界(欧州)的な作曲家であった。今日はバッハがヴィヴァルディより高級というイメージがあるが、今夜の様な演奏聴いているとほんとかなと思う。
〆
於:紀尾井ホール(1階10列中央ブロック)
カルミニョーラ/ヴェニスバロックオーケストラ、来日公演
ジェミニアーニ:コレッリのヴァイオリンソナタ「ラ・フォリア」によるコンチェルト・グロッソ
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「お気に入り」RV277
J・S・バッハ:ヴァイオリン協奏曲 BWV1042
J・S・バッハ:ヴァイオリン協奏曲 BWV1056
ヴァイオリン協奏曲 BWV1041
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「ムガール大帝」RV208
アンコール
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲(2つのヴァイオリンのための2重協奏曲)
BV516から1,3楽章
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「よろこび」RV180からアレグロ
ヴァイオリン協奏曲集「四季」から「夏」第3楽章RV315
2010年12月1日以来のカルミニョーラとヴェニスの公演である。相変わらずサービス精神旺盛の愉悦に満ちた公演だった。
1曲目はヴェニスだけの演奏である。まあ小手調べか、顔見せかいつものパターンである。ヴェニスの構成はヴァイオリン×7、ヴィオラ×2、チェロ×2、コントラバス、リュート、チェンバロ。チェンバロは若い女性が弾いていた。ヴァイオリンとヴィオラは立って演奏するスタイルである。いつも思うのだがカルミニョーラがいないせいか、最初の曲のせいか、いつも出足は音色が硬い様な気がする。ホールに音がふぁーと拡がって聴こえないのである。
カルミニョーラが入ってきてからはバッハとヴィヴァルディからそれぞれ3曲、2曲で、アンコールはオールヴィヴァルディである。ムガール帝を除いて全て我が家で聴けるので早速聴いてみた。バッハはシェリング/マリナー(1976年)、ヴィヴァルディは全てカルミニョーラである。ただしオーケストラは一部ヴェニスではない。
まずバッハである。今夜の2曲目はチェンバロ協奏曲を改編したものなので初めて聴く。残りの2曲はおなじみの曲である。全体の印象はどうも私には居心地が悪い。緩徐楽章はカルミニョーラらしく歌っていて聴き応えがあるが、両端楽章はいずれも駆け足で落ち着かない。これが古楽の演奏と云ってしまえばそれでおしまいだが、シェリングの悠然たるテンポの演奏を40年近く聴いている者にとってはとても単調に聴こえて、だんだん飽きてくるのである。カルミニョーラ/アバドのモーツァルトの協奏曲も何か慌ただしい演奏だったが、バッハにしろモーツァルトにしろもう少し落ち着いて聴きたいものである。
これがヴィヴァルディになるとまるで雰囲気が異なって来るのである。やはりカルミニョーラはヴィヴァルディである。RV277は20年ほど前の録音のCDを聴いたが、やはり今夜のほうが全体にゆったりとして素晴らしい。特に2楽章のやるせない様なヴィヴァルディ節×カルミニョーラ節はこれ以上考えられないような演奏である。
ムガール大帝は初めて聴く曲である。タイトルにあわせてえらく大ぶりの曲で、ヴィヴァルディにしては背伸びし過ぎではないかという印象であるが、カルミニョーラの技巧を楽しむには良い曲かもしれない。
アンコールの3曲はいずれも素晴らしい曲ばかりで、特にBV516はムローヴァとの共演のCDをよく聴いていて大好きな曲である。そいうこともあって今夜一番楽しめたのはこの曲である。1楽章のアレグロ・モルトは2丁のヴァイオリンのおいかけっこであり、スリリングな曲である。今夜はヴェニスのリーダーが2丁めを弾いていた。これは音楽を聴くことが快感につながる典型的な例である。この愉悦に満ちた音楽はヴィヴァルディの真骨頂であろう。最後の夏の3楽章は相変わらず威勢がよく、先日聴いたイムジチの演奏が寝ぼけて聴こえるほどである。ただ圧倒的なスピード感は2007年の録音のCDのほうがある。いずれにしろこれは従来の四季とは一線を画した演奏であることは間違えない。
今夜の様にバッハとヴィヴァルディを並べて聴くと、バッハファンには怒られるかもしれないが、ヴィヴァルディのほうが数倍楽しいように思うのだが!音楽史をひも解くまでもなくその当時バッハはローカルな作曲家であり、ヴィヴァルディは世界(欧州)的な作曲家であった。今日はバッハがヴィヴァルディより高級というイメージがあるが、今夜の様な演奏聴いているとほんとかなと思う。
〆