2014年9月19日
於:NHKホール(1階18列中央ブロック)
NHK交響楽団、第1788回定期公演Cプログラム
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
モーツァルト:交響曲第40番
チャイコフスキー:交響曲第五番
9月の定期はブロムシュテットによる、モーツァルトとチャイコフスキーの交響曲の組み合わせが3公演続く。できれば全部聴きたいところだがCプロのみ聴く。
それはさておき、今シーズンからいろいろ事情があって席を9列目から18列目に替えた。9列目の席は音は云うことがなかったのに残念である。18列目は後ろから3列目でサントリーホールなどでは良い響きの席なのだが、NHKホールはどいうわけか、どうも音のバランスが悪く、金管がうるさく聴こえる。9列目だと金管の音は頭の上を通るので、どちらかというと間接音で、弦とのブレンドが大変よろしい。ステージから遠い18列目は面妖なことながら音はブレンドしないで、素のままで聴こえるのだ。だから今夜のチャイコフスキーなどでは金管と弦とがブレンドせずまあ敢えて云えばばらばらに聴こえる。まあこれはオーディオ的には各楽器が明確なので、分離が良い音になるのだが、オーケストラの音はミックスされてなんぼだと思う私には少々つらい。まあこれも耳が慣れればどうってことがないのだが!ことほど左様にNHKホールの席の選定は難しい。まあ取るのも苦労するN響様だからしかたあるまい。
さて今夜の演奏だ。まずモーツァルト。今年はボストンとフィラデルフィアの来日公演でモーツァルトの交響曲が演奏され、モダンオーケストラの極上の響きを堪能した。特にセガンの指揮したフィラデルフィアの響きと若々しい指揮ぶりには感銘を受けた。
ブロムシュテットの40番は一言で云うと、少々淡白に聴こえる。これはテンポ設定にもよるのかもしれない。例えば3楽章など、中間のトリオの部分も全くテンポを緩めないで、そのまま押し通す頑固さが凄い。しかしその姿勢が生きるのは4楽章で音楽は決して荒れ狂うわけではないのに、体の底から熱くなるような感動はどこから来るのだろう。若きセガンのモーツァルトだと荒れ狂う様を素で出すが、ブロムシュテットはそこは抑えたままで我々をモーツァルト世界に引きずり込む。好悪がはっきりするような演奏だと思うが、それはすでに巨匠の域に達したマエストロの芸術なのだ。
演奏時間は33分強。プログラムには26分と表示があった。おそらくゲネプロでは反復を省略したのだろう。反復を行ったピノックやアバドのCDの演奏時間とほぼ同じだ。
チャイコフスキーの五番は2011/9/16にもこの組み合わせで、このホールで聴いている。今回の印象は前回とは少々異なる。音楽は更にスケールアップしているのだ。前回の演奏ではテンポの揺らぎはほとんどなく、甘さ控えめの今まで聴いたことのないチャイコフスキーだったように思うが、今回は少し味付けが濃いように思った。例えば1楽章終わりの部分ではがくんとテンポを落としたり、4楽章のコーダの前のためも以前はこうみえみえにはやらなかったと思う。2楽章のアンダンテ・カンタービレも前回より少し塩味を減らして、甘味を付けたような印象を受けた。しかしこれは決して音楽を損なうものではなく、この交響曲が持つ本来の姿を明確に示したものだということだ。ただそれにより前回の様な、孤高のチャイコフスキーという趣は薄れたような気がした。個人的な趣味では今回のほうが好きだ。演奏時間は45分で前回とほぼ同じである。
〆
於:NHKホール(1階18列中央ブロック)
NHK交響楽団、第1788回定期公演Cプログラム
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
モーツァルト:交響曲第40番
チャイコフスキー:交響曲第五番
9月の定期はブロムシュテットによる、モーツァルトとチャイコフスキーの交響曲の組み合わせが3公演続く。できれば全部聴きたいところだがCプロのみ聴く。
それはさておき、今シーズンからいろいろ事情があって席を9列目から18列目に替えた。9列目の席は音は云うことがなかったのに残念である。18列目は後ろから3列目でサントリーホールなどでは良い響きの席なのだが、NHKホールはどいうわけか、どうも音のバランスが悪く、金管がうるさく聴こえる。9列目だと金管の音は頭の上を通るので、どちらかというと間接音で、弦とのブレンドが大変よろしい。ステージから遠い18列目は面妖なことながら音はブレンドしないで、素のままで聴こえるのだ。だから今夜のチャイコフスキーなどでは金管と弦とがブレンドせずまあ敢えて云えばばらばらに聴こえる。まあこれはオーディオ的には各楽器が明確なので、分離が良い音になるのだが、オーケストラの音はミックスされてなんぼだと思う私には少々つらい。まあこれも耳が慣れればどうってことがないのだが!ことほど左様にNHKホールの席の選定は難しい。まあ取るのも苦労するN響様だからしかたあるまい。
さて今夜の演奏だ。まずモーツァルト。今年はボストンとフィラデルフィアの来日公演でモーツァルトの交響曲が演奏され、モダンオーケストラの極上の響きを堪能した。特にセガンの指揮したフィラデルフィアの響きと若々しい指揮ぶりには感銘を受けた。
ブロムシュテットの40番は一言で云うと、少々淡白に聴こえる。これはテンポ設定にもよるのかもしれない。例えば3楽章など、中間のトリオの部分も全くテンポを緩めないで、そのまま押し通す頑固さが凄い。しかしその姿勢が生きるのは4楽章で音楽は決して荒れ狂うわけではないのに、体の底から熱くなるような感動はどこから来るのだろう。若きセガンのモーツァルトだと荒れ狂う様を素で出すが、ブロムシュテットはそこは抑えたままで我々をモーツァルト世界に引きずり込む。好悪がはっきりするような演奏だと思うが、それはすでに巨匠の域に達したマエストロの芸術なのだ。
演奏時間は33分強。プログラムには26分と表示があった。おそらくゲネプロでは反復を省略したのだろう。反復を行ったピノックやアバドのCDの演奏時間とほぼ同じだ。
チャイコフスキーの五番は2011/9/16にもこの組み合わせで、このホールで聴いている。今回の印象は前回とは少々異なる。音楽は更にスケールアップしているのだ。前回の演奏ではテンポの揺らぎはほとんどなく、甘さ控えめの今まで聴いたことのないチャイコフスキーだったように思うが、今回は少し味付けが濃いように思った。例えば1楽章終わりの部分ではがくんとテンポを落としたり、4楽章のコーダの前のためも以前はこうみえみえにはやらなかったと思う。2楽章のアンダンテ・カンタービレも前回より少し塩味を減らして、甘味を付けたような印象を受けた。しかしこれは決して音楽を損なうものではなく、この交響曲が持つ本来の姿を明確に示したものだということだ。ただそれにより前回の様な、孤高のチャイコフスキーという趣は薄れたような気がした。個人的な趣味では今回のほうが好きだ。演奏時間は45分で前回とほぼ同じである。
〆