2012年10月22日
於:サントリーホール(1階16列、左ブロック)
東京都交響楽団、第743回定期演奏会Bシリーズ
指揮:エリアフ・インバル
ブラームス
交響曲第二番
交響曲第四番
ブラームスの重厚な音楽を、インバルの自在性のある棒で楽しむことができた。
まず二番、1楽章は少々生硬な感じ。全体には腰高な趣でちょっとブラームスとは違うなあとおもっていたら、2楽章は最初のチェロの音から素晴らしく、胸をときめかせる響きだ。その後高弦も加わり、ホルンのソロと木管の掛け合いと続く場面の美しく、切ない音楽を何とたとえよう。ここではもう腰高な印象はなく、ブラームスの重厚な音楽を堪能できた。3楽章は2つの主題の対比が鮮やかで痛快の極み。そして4楽章はインバルの独壇場だ。緩急をめまぐるしくつけてその変化にあれよあれよというばかり、終結部の盛り上がりも凄いが、その中で音楽の透明感を失っていないのが素晴らしい。
四番はさらにブラームスだ。冒頭の弦はせつせつというよりしなやかな音にまず耳を奪われる。そして圧倒的なのはコーダの音の壁だ。何年か前にニコラ・ルイゾッティ/東響の演奏で味わった大伽藍のような音の壁を聴くことができた。2楽章のホルンも素晴らしいが、私はクラリネットソロに耳を奪われた、美しさと同時に胸を締め付けるようなせつせつとした歌は誠に感動的。3楽章はかなり快速で一気呵成に飛ばす。しかしむやみに飛ばすばかりではなく終結の部分では、ぐっと腰を落とすところがまたこの楽章に凄みを与えていたように思った。そしてアタッカで4楽章へ。ここも二番と同じに変幻自在のインバルの指揮が聴きもの。各変奏を、各楽器に細かい指示を与えながら紡いでゆく様は豪華な織物を編んでいるようだ。そして終結部の盛り上がりも圧倒的だが、節度ある響きがブラームスらしいと思った。金管はここぞと吹きまくりたいところだろうが、決して突出せず素晴らしいピラミッドバランスの音の壁を作っていた。
演奏時間は二番が38分強、四番が39分弱。
〆