2011年4月25日
於:サントリーホール(2階3列、右ブロック)
読売日本交響楽団第537回サントリーホール名曲シリーズ
指揮:シルヴァン・カンブルラン
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
ヤナーチェック:狂詩曲「タラス・ブーリバ」
スメタナ:交響詩「モルダウ」
ヤナーチェック:シンフォニエッタ
カンブルランは来日してくれた。原発や余震など早く終息して外来の演奏家達が安心して来られる環境になってもらいたいものだ。
冒頭メシアンの交響的瞑想「忘れられたささげ物」から第三部「聖体」を演奏した。ヴァイオリンとヴィオラだけの美しい曲だった。演奏後拍手もなく全員引き上げ再度登場して本日のプログラムが始まった。このプログラム、いかにも名曲シリーズらしく、ごたごたと脈略なく並んでいるようだがいずれもチェコに関係あり、また18世紀、19世紀から1曲づつ、20世紀から2曲と時空を超えた、曲編成になっており、よく練られていると思った。
モーツァルトの「プラハ」が最も感銘を受けた。これほどみずみずしく、さわやかな印象を与える演奏は初めてだ。最近のモーツァルトは昨年の南西ドイツフィル/クリストプロスのような古楽奏法できりりとした演奏が多い。私は家ではピノックの指揮したものをよく聴くが、これもそういう演奏だ。しかしカンブルランはモダンオーケストラでヴィブラートもかけて美しく・みずみずしい音を作り出した。ただティンパニは硬い撥でバロックティンパニのような趣で存在感を出していたが。しかし読響の弦はこんなに美しかったのだろうか?特に1楽章の序奏が終わって主題にはいってからのさわやかさはどうだろう!演奏時間は27分の快速ぶりだが、全く気にならない。2楽章などは極上の響きで本当に感動してしまった。これもカンブルラン効果か?昨年だったかカンブルランをけなしてしまったがお詫びしなくてはならない。
タラス・ブーリバはオルガンも加わってオーケストラ効果満点。読響は時々弦がきつい音を出すが、今日は全くそういうことがなく、いくら大きく音を出しても全然うるさくない、だから金管の咆哮があっても弦がしっかりしているので、全体がピラミッド型の音場になり、オーケストラを聴く喜びを十分与えてくれた。
シンフォニエッタも同じ、1925年作曲だから現代にかなり近い曲だ。そのせいか時折ジャズとはいわないが、なにやらモダンな音が顔を出す。それとチェコの民謡風の音楽がミックスして楽しい曲だ。冒頭と最後の別セットのブラスのファンファーレ演奏もほとんど傷がない。ブーリバと同様この演奏も音のバランスが良い。
モルダウも名演だ。のっけからかなり速い。どちらかといったらチェコの風土に根ざしたモルダウではなくもう少しコスモポリタンなスマートな演奏だと思った。この曲はクーベリック/チェコフィルの感動的な演奏がある。それとは違う行き方と思ったが、これはこれで何の過不足もない。この曲を聴いて最後の高い城のテーマが登場した時、心が動かない人はいないだろうが今日もそうだった。
〆
於:サントリーホール(2階3列、右ブロック)
読売日本交響楽団第537回サントリーホール名曲シリーズ
指揮:シルヴァン・カンブルラン
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
ヤナーチェック:狂詩曲「タラス・ブーリバ」
スメタナ:交響詩「モルダウ」
ヤナーチェック:シンフォニエッタ
カンブルランは来日してくれた。原発や余震など早く終息して外来の演奏家達が安心して来られる環境になってもらいたいものだ。
冒頭メシアンの交響的瞑想「忘れられたささげ物」から第三部「聖体」を演奏した。ヴァイオリンとヴィオラだけの美しい曲だった。演奏後拍手もなく全員引き上げ再度登場して本日のプログラムが始まった。このプログラム、いかにも名曲シリーズらしく、ごたごたと脈略なく並んでいるようだがいずれもチェコに関係あり、また18世紀、19世紀から1曲づつ、20世紀から2曲と時空を超えた、曲編成になっており、よく練られていると思った。
モーツァルトの「プラハ」が最も感銘を受けた。これほどみずみずしく、さわやかな印象を与える演奏は初めてだ。最近のモーツァルトは昨年の南西ドイツフィル/クリストプロスのような古楽奏法できりりとした演奏が多い。私は家ではピノックの指揮したものをよく聴くが、これもそういう演奏だ。しかしカンブルランはモダンオーケストラでヴィブラートもかけて美しく・みずみずしい音を作り出した。ただティンパニは硬い撥でバロックティンパニのような趣で存在感を出していたが。しかし読響の弦はこんなに美しかったのだろうか?特に1楽章の序奏が終わって主題にはいってからのさわやかさはどうだろう!演奏時間は27分の快速ぶりだが、全く気にならない。2楽章などは極上の響きで本当に感動してしまった。これもカンブルラン効果か?昨年だったかカンブルランをけなしてしまったがお詫びしなくてはならない。
タラス・ブーリバはオルガンも加わってオーケストラ効果満点。読響は時々弦がきつい音を出すが、今日は全くそういうことがなく、いくら大きく音を出しても全然うるさくない、だから金管の咆哮があっても弦がしっかりしているので、全体がピラミッド型の音場になり、オーケストラを聴く喜びを十分与えてくれた。
シンフォニエッタも同じ、1925年作曲だから現代にかなり近い曲だ。そのせいか時折ジャズとはいわないが、なにやらモダンな音が顔を出す。それとチェコの民謡風の音楽がミックスして楽しい曲だ。冒頭と最後の別セットのブラスのファンファーレ演奏もほとんど傷がない。ブーリバと同様この演奏も音のバランスが良い。
モルダウも名演だ。のっけからかなり速い。どちらかといったらチェコの風土に根ざしたモルダウではなくもう少しコスモポリタンなスマートな演奏だと思った。この曲はクーベリック/チェコフィルの感動的な演奏がある。それとは違う行き方と思ったが、これはこれで何の過不足もない。この曲を聴いて最後の高い城のテーマが登場した時、心が動かない人はいないだろうが今日もそうだった。
〆