2010年11月30日
於:サントリーホール(LCブロック)
東京都交響楽団第707回定期演奏会
指揮:エリアフ・インバル
ヴァイオリン:四方恭子
ブルックナーの六番はショルティ/シカゴやヴァント/ミュンヘンで聴いているが何かつかみどころがなくいつも途中で飽きてしまうのだが、今夜のインバルによる演奏はそのようなイメージを払しょくするような素晴らしい演奏だった。
1楽章の弦による刻むようなせわしない序奏の後、盛大に音楽が盛り上がるが、これが何か音が固くて今日は調子悪いのかなあなどと心配してしまった。しかし再現部でこの第1主題が戻ってきて、終結部に向うまでの凄まじい盛り上がりではそのようなことはなくブルックナーサウンドを充分堪能させてもらった。
2楽章はCDでは主題もよくわからずつまらない曲だといつも思っていたが今夜の演奏では次の3楽章についで素晴らしかった。特に第2主題はブルックナーの五番や七番のような神々しさではなく何か人間臭いというか、むしろ艶っぽさまで感じさせるような音楽に聴こえ、ブルックナーが身近にさえ感じさせる演奏だったように思った。
3楽章の都響のメンバーの気合いは、特に冒頭低弦が刻むような序奏からスケルツオ主題も盛大な盛り上がりまで素晴らしいもので、その集中したさまがひしひしと感じられるほどだった。特に反復の迫力は筆舌尽くしがたい。トリオの部分は弦のピチカートが浮き浮きとスキップしているように聴こえ、ここもいつものブルックナーとは違う表情を垣間見ることができた。そしてもう一度スケルツオが戻ってきて反復。この熱狂的な音の渦、例えようがない。
4楽章は金管の跳躍など曲想が目まぐるしく変わり、ついてゆくのがやっとだが終結部のオーケストラの凝集力は、3楽章に次いで素晴らしく感動的。サントリーホールのアナウンスで拍手はタクトをおろすまで待てと2回もいわれたせいか今夜は終わってすぐの罵声はなかった。
とにかくこのとっつきにくいと今まで思っていた曲を再認識できたことは今夜の最大の収穫でインバル/都響の熱演に拍手したい。
モーツァルトの協奏曲は端正なたたずまいなのは良いが、モーツァルトはそれだけではないような気がする。なんと言っても19歳の青年の曲なのだからもう少し弾むような、浮き浮きするような音楽を聴きたい。四方のヴァイオリンは美しいがこじんまりとまとまった印象を受けた。モーツァルトに何を期待するかでこの演奏の評価が分かれるのではないだろうか?
〆
於:サントリーホール(LCブロック)
東京都交響楽団第707回定期演奏会
指揮:エリアフ・インバル
ヴァイオリン:四方恭子
ブルックナーの六番はショルティ/シカゴやヴァント/ミュンヘンで聴いているが何かつかみどころがなくいつも途中で飽きてしまうのだが、今夜のインバルによる演奏はそのようなイメージを払しょくするような素晴らしい演奏だった。
1楽章の弦による刻むようなせわしない序奏の後、盛大に音楽が盛り上がるが、これが何か音が固くて今日は調子悪いのかなあなどと心配してしまった。しかし再現部でこの第1主題が戻ってきて、終結部に向うまでの凄まじい盛り上がりではそのようなことはなくブルックナーサウンドを充分堪能させてもらった。
2楽章はCDでは主題もよくわからずつまらない曲だといつも思っていたが今夜の演奏では次の3楽章についで素晴らしかった。特に第2主題はブルックナーの五番や七番のような神々しさではなく何か人間臭いというか、むしろ艶っぽさまで感じさせるような音楽に聴こえ、ブルックナーが身近にさえ感じさせる演奏だったように思った。
3楽章の都響のメンバーの気合いは、特に冒頭低弦が刻むような序奏からスケルツオ主題も盛大な盛り上がりまで素晴らしいもので、その集中したさまがひしひしと感じられるほどだった。特に反復の迫力は筆舌尽くしがたい。トリオの部分は弦のピチカートが浮き浮きとスキップしているように聴こえ、ここもいつものブルックナーとは違う表情を垣間見ることができた。そしてもう一度スケルツオが戻ってきて反復。この熱狂的な音の渦、例えようがない。
4楽章は金管の跳躍など曲想が目まぐるしく変わり、ついてゆくのがやっとだが終結部のオーケストラの凝集力は、3楽章に次いで素晴らしく感動的。サントリーホールのアナウンスで拍手はタクトをおろすまで待てと2回もいわれたせいか今夜は終わってすぐの罵声はなかった。
とにかくこのとっつきにくいと今まで思っていた曲を再認識できたことは今夜の最大の収穫でインバル/都響の熱演に拍手したい。
モーツァルトの協奏曲は端正なたたずまいなのは良いが、モーツァルトはそれだけではないような気がする。なんと言っても19歳の青年の曲なのだからもう少し弾むような、浮き浮きするような音楽を聴きたい。四方のヴァイオリンは美しいがこじんまりとまとまった印象を受けた。モーツァルトに何を期待するかでこの演奏の評価が分かれるのではないだろうか?
〆