2009年5月29日
日本フィルハーモニー管弦楽団第610回定期演奏会
日本フィルハーモニー管弦楽団第610回定期演奏会
プログラム
マーラー; 交響曲第10番
マーラー; 交響曲第10番
リヒャルト・シュトラウス;アルプス交響曲
指揮;沼尻竜典
このプログラムもなかなか興味深い。マーラーは最後の交響曲でシュトラウスは最後の交響詩だから。そこまで沼尻さんは考えたか?
マーラーの10番、ビオラから始まりしばらくしてからバイオリンが主題を奏するがここまで。その後はどうも居心地が悪い。このマーラー最後の曲は6番以上に感情が入っているのではないだろうか。両方とも私はついて行けない。CDはバーンスタインのを聴いているがいつも途中で嫌になってしまう。さすがに6番はそういうことはないがそれでも1,2楽章は苦手。3楽章に来るとほっとするのだ。なぜだかよくわからない、相性か?マーラーは1,2,3,5,8が好きだ。やはり起承転結ではないが最終楽章で埒が明かないと困るのだ。6番のようにうじうじと終わるのは何か音楽を聴いたという高揚感がわかない。マーラーのファンには怒られそうですが!
沼尻さんの指揮はこの曲に限ればあまりうまくいってないように感じた。なにかオーケストラの音がばらばらなように聴こえた。バイオリンの音がキンつくのも辛い。どうも日フィルの定期の座席が悪いのかもしれない。(20列右ブロック)フルートなどもぴりぴりするのである。来シーズンは少し席を変えてみようと思う。
さて、アルプス交響曲である。CDではティーレマンがウイーンフィルを振ったものを良く聴いている。これは本当に気持ちの良いドイツの音楽を聴いたという気にさせるCDだ。録音もよく「頂上にて」~「景観」にかけての迫力はタンノイで聴くと鳥肌が立ちそう。
しかし、今日聞いてみてやはり生にはかなわないと思った。特にオルガン。全体としての印象は日本のオーケストラでこれだけの音楽が聴ければいうことありません。いくつかの不満はありますが!
今日、良かったのは金管、失礼ですがいつもはらはらするのだが今日は安心して聴けた。ただどうしても入りとか立ち上がりが微妙にそろわないような気がしてならなかった。それがいまひとつ凝集力の欠けた音楽になった理由かもしれないが、わからない。聴かせどころの「頂上にて」~「景観」、「雷雨と嵐、下山」はとても盛り上がって迫力があり大満足なのだが音が一つの頂点に凝縮しないのである。ここで頂点が築ければいうことないんだが!それともうひとつブルックナーの4番の時にも感じたのだが低弦が弱いように思う。だから音楽の支えが弱くなり高弦に滑らかさが欠けるのも重なって勢い音楽が腰高になってしまうように思われた。こうなるとないものねだりかもしれません。
最も良かったのは「日没」~「エピローグ」でオルガンの低音に支えられてその合間からホルンやいろいろな楽器が静かにそしてさわやかに聴こえてくる、ここは本当に美しくいつまでも浸っていたいぐらいだった。
楽器の配列だが向かって左にグロッケンシュピール、その横にハープ、ウインドマシーン、サンダーシート、打楽器類がならび、中央と右奥に一セットづつティンパニーがならぶ。オルガンの前にはバンダとしてホルン12本、トランペット、トロンボーンがならぶ。後はいつもどおり。バンダは「登山」の合図に登山者たちがラッパをならす掛け合いのため。舞台とバンダの掛け合いはパノラマチックだが今一つ盛り上がらず。どうしても拡散してしまうからかもしれない,それともアイデア倒れかも?
〆
〆