2019年7月30日
人魚

「人魚の眠る家」東野圭吾原作、篠原涼子、西島秀俊主演

サスペンスと思いきや、内容はヒューマンドラマだ。
播磨家の長女瑞穂は長男の生人と従妹の若葉とプールに行く。付き添いは祖母(松坂慶子)であるが少し目を離しているすきに行方不明になり、やがて水底でおぼれているのが発見される。そして必死の救難活動で心臓は動いている。しかしほぼ脳死と診断される。播磨家の夫婦薫子(篠原)と和昌(西島)は医者から脳死判定を受けて臓器移植を暗に勧められる。しかし妻の薫子は一縷の望みを抱き長期脳死療養を選ぶ。播磨和昌は介助機能を司るロボットを開発製造する会社の2代目社長である。浮気がばれ薫子とは離婚の協議中という複雑な設定の中の事故だった。
 和昌は薫子を不憫に思い結婚を続ける。そして社内でANCという技術を一人開発する星野(坂口健太郎)に依頼して瑞穂の体が少しでも動くようにしてもらおうとする。ANCとは脳死している脳の代わりに人為的な信号を健常な筋肉に伝達して動くようにする技術である。期待にたがわず瑞穂の手足はその技術によって少しづつ動くようになる。しかし薫子はそれが疑似的でなく、本当に瑞穂の回復につながると思い込み異常な行動に走る。
 このあとにいわゆるサスペンス的な部分があるが、感動的なドラマに押し切られてしまうので、あまり面白くない。脳死は死なのか、脳死の人間を殺した時は殺人犯になるのかというのっぴきならぬ課題を私たちに突き付ける作品のはずが、そこが薄まってしまい、単なるお涙頂戴のメロドラマ風に仕上がってしまったのは残念。原作はどうだったのだろう?