9784758413787


幕末の英雄を扱った小説は多くあるが、この小説は著者自身の4代前の高祖父、柴田快太郎を主人公にしている。宇和島伊達藩の下級武士でもともとは弓矢のエキスパートの家筋だが、1860年ころは銃器のエキスパートとして君主からの信頼も厚かった。快太郎は脱藩の形をとって、伊達藩の隠密として京都他に潜入、君主にレポートを書いたという。
  幕末の桜田門外の変や、寺田屋事件、池田屋事件、など幕末の事件の目撃者として描かれている。その事件の描写は目撃者として精緻を極めていて、興味深い。坂本龍馬や吉田念磨、勝海舟、久坂玄瑞、武市半平太などの描写も面白い。一級の娯楽時代小説と云える。唐人お吉との淡い恋(お吉の片思い)、海賊の娘との恋など句読点もうまい。〆