978-4-408-53782-5

読後感があまりすっきりしない。何かが歯に挟まったような違和感。

 それは、紀州の殿様から、将軍になった、吉宗の私のイメージは、名君で藩の財政を立て直し、そして、幕政も、享保の改革と云う歴史の授業では必ず暗記させられた、財政改革を行った、名将軍というものだが、本書では権謀術数の数々、名君とはずいぶん違う腹の中を見せられると、冒頭に書いたような違和感を覚えてしまう。
 それには、理由があるのだが、それだけでは少々説明できないような気がする。

 もちろん、フィクションと断っているし、本当の吉宗は果たしてどういう人物かは、わからないのだが。独自の解釈で名君の真の姿を暴くという、面白みはあるが、読み手によって評価が大きく異なるような作品のような気がする。〆